昨年末に空と大地の歴史館の開館がアナウンスされてから、一体どの様なものが出来上がるのか気になっていたので行ってきた。
芝山にある航空科学博物館の敷地内にあるが、HPが今のところないので、アクセスに関しては航空科学博物館のHPを参照してほしい。
私はJRの成田駅まで行って、京成成田駅まで歩き(徒歩3分)そこから芝山千代田行きの芝山鉄道直通電車に乗った。連絡が非常に悪いし本数も少ない上に芝山鉄道直通電車は、休日と平日で別のホームから発車するので注意。
私が行ったのは日曜なので2番線から。
芝山千代田駅着。所要時間10分ほど。

延伸予定があるので下から見るとこうなっている。
延伸推進の看板。
芝山千代田駅からはバスが出てるのでこれに乗車。歩いていけない距離ではないが、これからのシーズンは暑いだろうと思う。
航空科学博物館着。入口のゲートのところに看板はあるものの、「空と大地の歴史館」の場所はわからない。
航空科学博物館の施設案内図。図内には記載がないが、駐車場の右下あたりに存在する。
そっけない立て看板。まるで場所がわからないが、駐車場の中を歩いていく。
駐車場の奥に小さな目立たない建物。これが空と大地の歴史館である。
さて、まず大前提として一つだけ確認しておく。このブログは政治的なものではない。政治的な観点からの評価はこのブログには書かないし、また私見だが反対派にとってはこの施設は別に現地に行かずとも十二分に評価可能な程度の代物であると考えている。
毎日新聞だけが反対派の意見も載せていたので引用しておきたい。
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◇努力に感謝する--県議、国会議員として反対し、成田市長として共生を進めた小川国彦氏(78)の話
ここまでこぎ着けた努力に感謝する。反対運動もあり問題は解決していない。公共事業や共生のあり方を考えるきっかけとなると思う。運動に関わった人は多く、限られた展示で表し切れない。多くの思いや意見、資料を一層集積し伝える拠点となってほしい。
◇反対運動は進行中--三里塚芝山連合空港反対同盟北原派事務局次長、萩原進さん(66)の話
反対運動は終わったと広めたいのだろう。だが、運動は進行中で、大事な局面を迎えている。今、福島第1原発事故の被害などで、全国的に国の事業を見直す時期にも来ている。歴史館などとんでもない。作るお金があるなら、被災地に回せと言いたい。
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共産趣味の観点から見てみても展示資料はここでなくては見れない貴重な資料が多い。
当ブログで主に紹介している「ゲバスタイル」はその一つで、実物のヘルメットやゲバ棒(鉄棒)、目出し帽、ゴーグルなどいずれも貴重な資料である。
ヘルメットは計22個展示されていた。出来れば写真で紹介したかったのだが、残念ながら撮影禁止であった上に、一切説明もなく、また展示目録も発売されて無い。仕方ないので現地で一時間かけて22個のヘルメットを一つずつメモしていった。それを解説を交えつつ紹介する。
凡例
紐ドカヘル:紐が鉢巻状に通してある工事用ヘルメット。
ドカヘル:いわゆる「MPタイプ」と称される工事用ヘルメット。
半帽ヘル:お椀を伏せたようなタイプのバイク用ヘルメット。半帽などと称せられる。
ジェットヘル:新左翼関係の文脈で「バイクヘル」と言う場合には大概このタイプを示す。管理人のPicasaで公開中の第四インター系「三里塚空港粉砕全国学生共闘」のヘルメットがこのタイプ。
では展示されていたヘルメットを見ていこう。
反対同盟のヘルメット
・白無地、紐ドカヘル
【来歴】 反対同盟の小川氏所有品。
逮捕された際に押収され後に返還された物で検察のタグが付いたま
ま展示されていた。
・白地に黒で「少行」、紐ドカヘル
【管理人コメント】 反対同盟農民の子ども達によって組織された「
少年行動隊」のヘルメット。同盟休校などを行った外、
直接的な行動にも参加した。
・白地に黒で「空港絶対反対」、半帽ヘル・白地に黒で「空港粉砕」、後ろに黒で「青行隊」、紐ドカヘル
・白地に黒で「空港粉砕」、後ろに黒で縦書き「東峰」、紐ドカヘル・白地に黒で「空港絶対反対」、後ろに黒で「成田反対同盟」、紐ドカヘル
・白地に赤で重なった「○○○」、後ろに黒で「反対同盟」、紐ドカヘル【管理人コメント】
いずれも反対同盟のものと思われるヘルメット。「青行隊」は「青年行動隊」の略称。三つの重なった輪は反対同盟のマークで、反対同盟旗に染め抜かれているものと同じもの。
支援党派・支援者のヘルメット
・赤地に黄色デカールで「★」、ジェットヘル、2個
・赤地に黄色デカールで「★」、ジェットヘル(白ひさし付)、2個
・赤地に白で「プロ青同」、紐ドカヘル
【管理人コメント】 支援党派「共産主義労働者党」の青年団体「
プロレタリア青年同盟」のヘルメットと、同青年団体が組織した「
三里塚を闘う青年先鋒隊」のヘルメット。
1978年3月26日の管制塔占拠党派の一つで、
管制塔占拠部隊の中に同じヘルメットを被った者も居た。
・赤地に白で「反戦」、後ろに白で「プロ青同」、紐ドカヘル
【管理人コメント】前述の「プロレタリア青年同盟」
のヘルメットか、或いは共労党影響下の反戦青年委員会かも知れない。もっとも共労党影響下の反戦青年委員会があったかどうかは寡聞にして知らないが、「反戦」とあるからと言って反戦青年委員会のヘルメットと断定するのも短絡的であろう。
・赤地に黒の白縁で「婦人通信」、ドカヘル
【管理人コメント】 支援党派「日本革命的共産主義者同盟(
第四インターナショナル日本支部)」系の冊子『婦人通信』の「『
婦人通信』編集委員会」
が呼びかけて集まった全国の戦闘的婦人によって組織された。(
1978/4/3付 『世界革命』第517号 三・二六開港阻止決戦勝利報告特集号
に記載あり。)
・青地に黒で「反戦」
【管理人コメント】 支援党派「革命的労働者協会(
社会党社青同解放派)」影響下の大衆団体「反戦青年委員会」
のものと思われるヘルメット。
・黒地(赤地の塗直し)正面難読。左側面に白で「解放」、半帽ヘル
【管理人コメント】 唯一文字が判別できなかったヘルメット。
・白地に赤いビニールテープで「✚」、左側面に黒で「救護」、ドカヘル
・銀地に赤いビニールテープで「✚」、左側面に白いビニールテープで「野戦」、後ろに赤いビニールテープで「✚」、ドカヘル
【管理人コメント】
おそらく三里塚野戦病院の活動家のものと思われる。当時の写真を見るとそれなりの人数がおり、青医連の活動家なども参加してデモ隊との衝突による負傷者の救護に当っていた。
・赤地に黒の白縁で「合宿所」、後ろに黒の白縁で「弁当隊」、紐ドカヘル【管理人コメント】
三里塚の労農合宿所に所属していた活動家のものであろう。弁当隊ということは非戦闘員で炊き出しを担当していたのだろう。
・黒地に白で「反战」、左側面に白で「7」、右側面に白で「叛乱」、ドカヘル【管理人コメント】
ノンセクト系の活動家だろうか。詳細不明。
・白地に青で「全共闘」左側面に青で「応化」、その上に黒で「応斗委日和見派」、後ろに赤で「震研斗争勝利」、右側面に青で「応化」その上に赤「反帝」、紐ドカヘル【管理人コメント】
このヘルメットは東大全共闘のものではないかと思っている。以前ヤフオクに東大地震研闘争に関する本が出ていたのだが、寝過ごして入札できなかった。
・赤地に黒で「連帯」、後ろに黒で「連帯自治会」、その上に黒で「現闘(門構えに斗)」、紐ドカヘル
【管理人コメント】
どこかの党派或いはノンセクト系の自治会で現地に常駐していた活動家のヘルメットだろう。
以上が展示品のヘルメットの全てである。反対運動初期の襷や鉢巻、その他実物資料が展示してあるので、一見の価値はある。しかしそれはこの歴史館のコンセプトの正当性を担保し得るものではない。
参考(追記2011.10.06付)
来場者アンケート(手元の資料整理してたら出てきたので公開)
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