『新左翼・過激派全書 1968年から現在まで』発刊によせて
※10年近く放置していたブログを再開しました。
2024年11月に作品社より『新左翼・過激派全書 1968年から現在まで』 を上梓する運びとなりました。
内容としてはこのブログや、HPでやってきたことの延長線です。
最初にお話しをいただいたのが2017年の今ごろで、模索舎の舎員さんを通じてでした。
その後、出版社が変わり、コロナ禍の停滞ありと時間はかかりましたがこうして世に出すことができたのは、ひとえにご関係の皆様の日ごろからのお力添えがあってのことと感謝しております。
さて、書籍の方では「はじめに」で、書籍の位置づけを明らかにしております。
しかしなぜ「党派」なのかという発刊の意義についてはあまり書いておりません。
奇しくもこの文章を書いている10月19日の朝に、自民党本部と首相官邸を狙った火炎瓶攻撃があったとの報道がありました。
それこそ1968年~1972年あたりであれば火炎瓶闘争など珍しくもなかったことですが、党派の衰退とともに、党派によるそういった闘争は全く見られなくなりました。
火炎瓶闘争をやるような党派もやらない党派も、かつては日本の社会運動には大きな影響を及ぼし、その影響は現在にも及んでいます。
しかし、社会運動研究自体が盛んとは言えないなかでも、とりわけ党派に関して触れたものは少なく、国立歴史民俗博物館で行われた「1968年」-無数の問いの噴出の時代- では、はっきり言って不自然なまでに党派については触れられず、言わば「漂白」された内容となっていました。
もちろん全共闘運動は党派に所属していない学生も多く参加しましたが、多かれ少なかれ党派の影響は受けており、それは無視できないレベルにあったと考えています。
ところが、例えばある大学の全共闘について調べていて、その大学の全共闘については多くの資料を持っていたとしても、党派について調べようと思ってもなかなか難しいというのが現状です。党派の基本的な情報が最も充実しているのはWikipediaというのは笑えない現実です。
更に本腰を入れていざ調べようとしても数少ない資料を所蔵している図書館の分類が誤っているケースもありました。これは致し方ないことですが、党派機関紙誌の題名は歴史的経緯から同じだったり、それどころか党派同士は直接関係がないのに同じなんてことも多いのです。
この本を書いている最中に、ある図書館で閲覧中に年代は同じものの異なる文書が同じ分類になっているのを発見して返却時に指摘したことがありました。図書館の司書の方々もなかなかこの分類については苦慮されていることと思いますが、図書館によって同じものとして所蔵されてしまった資料を、知識のない方がその違いを見分けて指摘するのは非常に困難でしょう。
私の書籍では図版を多く用いて書影や題字なども収録してあります。正しい資料にたどり着くために、これから社会運動を調べようとしている方々が辞書的に使用されることも可能でしょう。ぜひご活用いただければ幸いです。
元々いずれは同人誌か自費出版で出したいと思っていた内容です。売れなくても私は懐が傷むわけでもないのですが、とはいえ自ら書いた本ですし、愛着があります。編集者の方からは図版の多さに組版の方に断られたこともあったと伺い、お手間をかけた分何とか売らないととも思ってます。
ぜひ多くの方に手に取っていただければ幸いです。
そして、間違いを見つけた折は、ぜひ具体的なページ数などを挙げていただき、ご指摘いただければ幸いです。ご指摘については確認の上でいずれ出したいと考えている補遺に収録したいと思います。
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